
クマ対策、その2はbear canisterである。 クマは犬ほどでは無いにしろ人間と比べて非常に鼻が利く。また食料だけではなく、リップクリームや歯磨き粉などよい匂いのするものだけでなく石鹸・香水・湿布さらにはガソリン等まで文明のにおいのするものはなんでもクマを誘引してしまうのですべてテントには置かないようにすべきである。アメリカのFront countryではこのガイドラインに沿ってcamp siteには鉄製のbear box/food rockerが用意されており、そういったものはなんでもそこに入れておけば良い。気がきいたよい公園であればbackcountryのcamp sitesにも同様の設備が備わっており、bear boxでなくてもbear poleなどの対策がしてある場合もあるので防水袋を用意してそこに引っ掛けておけば事足りる。しかしながらdispersed campの場合やそういった対策の無いcamp sitesでは個人的になんらかの方法でテント以外の場所に匂いのするものを収納しておく必要がでてくる。従前は木に吊るす方法が主流で、今でもYellowstoneなどの多くの公園でこの方法によるクマ対策が認められている。backpackごと木に吊るしてしまえば良いので荷物の仕分けも特に必要なく、渡渉など他の用途にも役に立ちそうなロープを持っていくだけなので重量・スペース的な負担は少ないが、意外に手頃な木と枝を見つけるのは難しいし、下手をするとテントの設営より手間がかかる。また昨今賢いクマが増えたらしく(特にCaliforniaで)、子グマを使ってロープを伝うなどの手法で吊るしてあるfoodを手に入れることがおきているようだ。そうでなくてもリスなどの齧歯類は返しをつけたり、普通のbackpackでなく鎖帷子のような重たいbear bagを使ったりしないと上手にロープを伝って食物にたどり着いたりもするので冬季を除けば有効性が落ちてきているといえる。さらにご存知のようにbear canisterの所持を義務付けている公園が増加しているため、bear canisterを持つことが一番容易で有効な対策になってきている。個人的には椅子の代わりになるところと、クマだけでなくリスにも大きく効果があるところが気に入っている。リスのほうが遥かに遭遇確率が高く人が近くにいても簡単にサックなどは食い破ってしまうことが起こるからだ。もちろんデメリットとしては重量とスペースであるが、個人的には予め食料が占めるべきスペースがわかるのでそんなにデメリットばかりではないし週末の1-2泊hikeであれば気楽さのほうが上回る。問題は「日本での入手性の悪さ」と「どうやって飛行機に載せるか」にあろう。簡易な鍵はかかるわけなので中にキャンプ用品など入れて預け入れ荷物の一つとするのが一番容易ではあるが、明らかに1つ余分な荷物が増えてしまうのは少し煩わしい。
今回紹介するようなBaer canisterは皆海外配達に対応して日本への発送もしているようだが、この場合に困るのが大きさがよくわからないことだ。Reviewはたくさんあるが、そもそもcubic inchってなんだ?って話である。100cubic inchで1.64Lなので、標準的なサイズである500cubic inchで8Lほど。一般には一人一日分が100cubic inchと言われているので8Lのものだと5日分に相当する。といってもやっぱり大きさはわかりにくい。自分のbackpackにうまく合うだろうかと不安になってしまう。
市場に一番出回っているBear Vaultというメーカーのものは450と500という2サイズあるが、450が8.3(H高さ)x8.7(D直径)で440ci(7.2L)で4日分相当、500が12.7(H)x8.7(D)で700ci(11.5L)で7日分相当。重さはそれぞれ0.94kgと1.16kgとなり、容量が増えた割には重さはあまり変わらない。外形的にも間口は同じで蓋は同じものであるので純粋に高さ(深さ)が変わるだけである。蓋は黒色、筐体は青みがかった半透明の強化プラスチックで中身がなんとなく確認できる。直径は8.7inch (22cm)なので骨組のないUL系backpackならちょうど入る大きさかと思うが、traditional typeのbackpackだときびしいかもしれない。450の場合は高さのほうが短いのでひょっとすると横にすればokかもしれない。仕組みとしては蓋の2箇所に爪があり、爪を起こしてやらないと蓋が回らないようになっている。特に道具等必要なく容易に開閉できるかと思うが、Californiaのクマはこれを開けたという報告もある。高さが違うが丈夫が取り柄のbear canisterなのでどちらもイスとしてcamp siteでは重宝する。REIでは大抵どこの店舗にもおいてあり、$70-80程度と安価でもある。
やっぱり値段は張っても少しでも軽いものが良いという人にはBearikade(wild idea)がオススメとなる。こちらは大きさはscout(0.79kg 500ci – 8.2L)、weekender(0.88kg 656ci – 10.7L)、Blazer (0.94kg 750ci – 12.3L)、Expedition (1.02kg 900ci – 14.7L)の4種類でBear Vaultとほぼ同等の直径(23cm)でまた同じように大きさが変わっても径は変わらず高さ(20/27/30/37cm)のみが変わる。蓋と底は金属製だが、筐体はカーボンファイバーでできており多少軽くてもより強度が高くなっている。ロックは蓋に3箇所の爪がついておりコインのようなもので爪を回しロックするので、Bear Vaultより直感的に分かり易い。こちらの問題はやはり値段で$250-$350程度とBear Vaultと僅かな重量の差で値段は3-5倍程度になっている。また完全に不透明であり、開けないと中身を確認することはできない。
NPSのregulationでbear canisterとしてここに紹介したほとんどのモデルが認可されているが、基準はよく変更されたりするので事前に確認してほしい。またこの2メーカー以外でも認可されたbear Canisterはある(glacier backpacker’s cash, bear boxer等)が、あまり店舗で見かけないか、多少重くて使いにくいものになってしまうかと思う。