
7つの原則をもうすこし噛み砕いて説明してみたい。日本語の規則はdo(~しよう)でなくdon’t(~するな)で書くことが多いのでdoで書かれた規則を見るとどうしても甘くみてしまうひとが多いので原則だけでもdon’tでも書いてみたい。
1.) Plan Ahead and Prepare (計画と準備なしに旅を始めるな)
訪れる公園の規則(regulation)や状況を最低でもwebやface book/twitter等を使い下調べしておこう。 このblogでもある程度の情報は出しているがあくまで補助的な情報であり、また公式のものではない。 また筆者が訪れた頃から状況が大きく変化していることも少なからずある。 またイベント等で閉鎖されていたりしようが制限されているようなケースもあるのでせっかくの休みをふいにしないよう下調べはしっかり行おう。 時間がないというのはあまり言い訳にならない。 下調べ出来なかった場合は、現地でまずVCに寄り、情報を集め計画を立てるところから始めよう。 実際に下調べをしてちゃんとスケジュールを組んでおけば混んでる時間帯を避けられたり、貴重なイベントに参加することも可能になる。 また突然の天候などの急変に対する準備はもちろん欠かせない。 あとLight weight hikerには常識となっていると思うが現地でゴミになるようなものは減らす努力を事前にしておくべきである(たとえばスナックなどは包装を開けてZiplockなどに移し替える等)。 さらには道具は持っているだけでは役に立たないのでコンパスの使い方や救急法を学ぶというのも準備としては大事なことである。
2.) Travel and Camp on Durable Surfaces (trail以外を歩かない。指定された場所以外でcampをしない。)
トレイルの外に足を踏み出してお花畑を踏み荒らしてはいけないというのは何故いけないのか直ぐにわかると思う。 お花畑でなくても美しい自然は我々が簡単には気づかないだけでその壊れやすい土壌によって長い年月を経た後に作り出されたものかもしれない。 そんなところを歩いたりcampしたりするのは気持ちのいいことかもしれないが、自分が居た痕跡(足跡、ペグ跡、おしりの跡、食事のゴミ、などなど)があとに残るような地形であればそこに侵入してはいけない。 指定されたcamp site、trailを使いショートカットなどは避けたい。 またtrailの外にでる必要がある場合は岩や砂利の上、雪の上、乾いた硬い土の上などしっかりとしたあとが残らない場所を選んで楽しもう。 また指定されたtrailでも周囲が傷つきやすい地形であればなるべくtrailの中央を歩くよう心がけよう。 trailがないような場所を歩く場合にはなるべく既に出来てしまっている踏み跡の上を歩くようにしたい。 campに関しては歩く以上に自然に対する影響が大きい。 新しいcamp場所を作らず既に前にcampしたと思われる跡地を使うと影響が小さい。 また必要以上にcampの場所を広げないようにしたい。 川・湖等は水の補給等で近づく必要はあるのだが、そういった水辺は傷つきやすいのでcamp等を実施する場合は最低でも60-70mは水辺からはなれた場所で実施しなければならない。
3.) Dispose of Waste Properly (ゴミを捨てるな)
食べかす・残り汁も含め持ってきたものはすべて持ち帰ろう。 10 essentialsのtopは実はゴミ袋でも良いのではないだろうか? 糞尿に関してはfront countryでは犬の糞同様pick upし、指定の場所(トイレ)に捨てること。 詳細は以前に書いたことがあるが、トイレが全くないBackcountryでは持ち帰るか、水場の近くは避け15cm~20cm程度の穴を掘って埋めること。 トイレットペーパー・生理用品など使用した場合はゴミとして持ち帰ること。 燃やそうなどと思ってはいけない。日本では大丈夫かもしれないが乾燥がちなアメリカでは燃やしたトイレットペーパーから飛んだ火の粉でwildfireが起きた事例は想像するよりかなり多い。 歯磨き後の水、調理のあまり汁、手や食器を洗った石鹸水などは絶対に水場の近くでは捨ててはいけない。 次の利用者に不衛生なだけでなく、汚染が容易に拡散してしまう。 自然分解の石鹸を使ったり、出す量を少なくする努力をした上で、排泄物同様水時から離れたところに穴を掘って処理すべきである。
4.) Leave What You Find (自然に手を触れるな)
基本原理にかなり似た原則である。 商業主義による経済の発展が優先された日本の国立公園と異なり、アメリカのNational parkは自然や文化遺産の保護が最大の関心事である。 触ってはいけないとされているものはもちろん、壊れやすいものには触らないようにしよう。 岩やら植物やらに触ることも冒険の一部ではあるが対象を傷つけてしまわないように注意しよう。 また休憩場所を作ったりcampするために石などの自然のものを動かすのはやめよう。 急病人対応等やむを得ない理由で動かしてしまったら、速やかにもとに戻しておこう。 珍しいものなどを見つけても次の人も楽しめるように写真に撮るだけにして何も持ち帰ってはいけないのは当然のことであるが、移動に際しては故意にではなくても服や靴などに付着したりして違う場所のものを持ち込んだり・持ち出してしまうことがあるので十分に注意しよう。
5.) Minimize Campfire Impacts (ストーブ以外の火は原則使わない)
アメリカでは近年Wildfireが大きな社会問題となっていることもありfront-country, back-countryに関係なくoutdoorでの火の使用は大きく制限される傾向にあります。 というわけでこの原則以前に基本火は調理のための携帯用ストーブでの使用に留めるのがどこの公園でもルールとなりつつある。 一部まだ火の使用が許可されているところもあるが、その場合でも既に出来上がった焚き火の跡を使用してまたなるべく小さな火の利用とし、新たな痕跡を作ることは極力避けなければならない。 また薪木は枯れた落ちているものを斧などを使わず手だけで扱える範囲で使うことにし、消火は灰の一つ一つまで確実に行うことが必要となる。さらに最近では薪ストーブはもちろんのこと火力の調節ができないアルコールストーブはストーブではなく焚き火と見なす傾向があるので注意しよう。
6.) Respect Wildlife (野生動物にかまうな)
National Parkに来てしたいことのひとつに「野生動物を見る」ことがある。 実際trailを歩かなくてもしばしばクマ・ムース・バイソン等の人気の大型動物を見かけることはあるし、野鳥やリスなどのげっ歯類はそれこそそこらじゅうにいる。 写真を撮ったり、鳴き声を録音したりするのはとても楽しい、が、彼らの生態を尊重し至近距離まで接近する行為は避けよう。 追っかけたり、こちらから近づいたり、驚かせたりすることも避け、彼らの行動に影響を与えないようにしたい。 特に繁殖期や巣作りの時期など警戒心が高まっている時期は十分に距離を確保することが必要である。 また積極的であれ消極的であれ食料を与える行為(餌をあげる・食料を盗まれる)は往々にしてその個体(を殺す)のみならず、生態系を壊す行為につながるので行ってはならない。 ペットは家においてくるのが基本であるが、許可された公園でかつ連れてきてしまった時はきちんと紐につなぐなどして管理し、野生動物との接触が起こらないようにしたい。
7.) Be Considerate of Other Visitors (他人に迷惑をかけないように)
日本人は他人を思いやることについては世界に誇るべき水準の高さを示していると思っていたが、どうも「旅の恥はかき捨て」文化も併せ持っているらしくいまひとつ思慮に欠けた行為が見受けられる。 隣の国に比べれば遥かに良いと思っている諸氏も多いようだが50歩100歩でしかない。 自分がnational parkでしたいと思っていることは来園したみんなでshareできるよう他人の行為は出来る限り尊重したい。 trail上やすぐ近くでcampをするのも迷惑行為だ。 また大声を出したり大きな音を出すこともなるべく自重しよう。 地形によってはあなたが思うより遠くまで大きな音は響く。 (クマを避けるために音を出している・山は登りが優先など)正当化する理由があるとムキになる人がいるが他人への思いやりをまず考えたい。 蛇足ではあるが日本人も含めアジア系の人が明らかに行うことが少ないのは「あいさつ」。 そもそも挨拶は自分に敵意がないことを知らせるものでもあるので相手が挨拶しているのに自分はうなづくだけ何ていうのは大変失礼な行為であり、他人への思いやりに欠けていると言わざるをえない。 自分から挨拶できない・会話したくないとしても、相手が声をかけてきたらHello, How are you? くらいはきちんと返しておこう。