
つい先日、AT(Appalachian Trail)で大きな事件が起きた。ハイカー4人が襲われ、うち2人がナイフで刺され、1人が死亡するといったいわば殺人事件である。場所はGeorge Washington & Jefferson NFというからVirginia南部、West Virginia との州境に近いあたりと思われる。 事件があったのが5/10日金曜の夜から5/11日土曜の朝にかけてというからたくさんのNorth boundのthru hikersがそのあたりを通る時期である。 犯人とみられる男は4人組のhikerに近づいてきて、夜テント越しにガソリンをかけて焼き殺してやると脅したという。 慌てたhiker達は逃げ出したのだが、犯人はナイフを振り回しながら追いかけてくる。2人ずつばらばらの方向に逃げたため、2人はにげられたがもうひとつの男女の二人組は犯人につかまった。 男性の方がナイフで数回さされ倒れるのを見て、女性はさらに逃げたが疲れ果てて捕まってしまった。 犯人は女性の方にもナイフを突き立てた。 女性は刺されたところでとっさに地面に倒れ死んだまねをしたところ、幸運なことに犯人はそのまま立ち去ったという。 犯人がいなくなったのを見て女性は山を下り、その途中他の2人のhikerに会うことができ、彼らに助けらながら6マイルほど歩きようやく電話のできるところにたどり着くことができた。 ちなみに犯人の男はtrail name “Soverign” (国王、君主)と名乗ったそうだ。 犯人は4月にもTennesseeでHikerを脅すという事件を起こしていたが、その件については保釈になっており今回の犯行につながってしまったようだ。 通報後犯人は今回はしっかりと捕まったようで一件落着ではあるのだが、まあなんとも13日の金曜日が現実化したような事件で非常に怖い。
というわけでhikerとしていくつか気をつけなければいけないことが改めて浮き彫りになったと思う。
・よく言われることだが、trail上で一番怖いのはクマでもハチでも雷でもなく、人間で有ること。
最近は一昔前よりも治安が良くなったし、何の危険な目にも合わずに無事旅行などから帰って来る方がmajorityになってきたのでアメリカの危険性が軽視されている傾向にあると思う。 人がいないtrailは基本outdoorの知識を十分に持った方にはこの上なく安全なところであるが、人がいれば話は別なのだ。 アジア人などを嫌う白人さんもいっぱいいるし友好的な人ばかり・理性的で議論が通じる人ばかりではないということは少し頭においておく必要があるだろう
・ATやPCT等hike人口が増えるに連れ今後似たような事件が起こることが予想されること。
コピーキャットの犯罪はこのインターネット時代、頻繁に起きるようになったし、人が増えるということは犯罪者が狙う余地ができたということといえる。 実際に4月にTennesseeで、5月にVirginiaで事件を起こしたり、Trail Nameを名乗るなど犯人はAT上のhikerの動向を把握した上で犯行に及んでいる。 死んだまねをして助かったというところがNewsネタになったんだと思うが犯人の嗜好次第で結果は変わっていたので死んたマネが人間に対して有効だというわけではないが、ただ、被害者の方も逃げ続けて疲れて捕まってしまったわけで無駄な抵抗したりするよりは良い選択だったのであろう。
私も実は今月始めにGreat Smokey Mountains NP(Tenessee-North Carolina)でATを一部歩いてきた。 Thru Hikerとしてあのまま歩き続けていたら事件現場付近にちょうど差し掛かる頃だったかもしれない。 もちろん元々今年thruを実施するつもりもなかったが、個人的には人口密度の異常に高いATに嫌気がさして時間があったとしても続ける気はなかったのであるが・・・
北のBig South forkやDaniel Boon NFのほうがひっそりと幾分かは安全に素敵なhikeができそうだ。
いずれにせよ過剰な警戒は旅をつまらなくしてしまうとはいえ、ある程度の警戒は必要なのである。